罪線
一人の中年が店から出て来た。

中肉中背。禿げ上がった頭に、脂ぎった顔。

オッサンと言うモノの何たるかを指すならコレ、と言った感じだ。


「平岡ァ……アレだろォ……」


柴田が声を潜めて言う。


「どうだろうね……あの人を追い掛けて行きそうな人がいれば……」


と、また一人店から中年が出て来る。


黒髪の一本もない真っ白な頭に、高そうな金縁眼鏡。

ピシッとキメたスーツ。

これで、後を追って行く様なら……


「追って行くぞ?」


「間違いないね。アタリだよ!」


僕達は二人の後をコッソリと追い掛けた。


さぁ……見せてくれよ。


ハッキリ言って一万円なんて紙切れにも


今回に限っては、宮内麗奈そのものにも興味はない。


見たいんだ。


見せてくれよ……。


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