罪線
柴田が自分の携帯を相手に向ける。

まさか、そのまま撮るんじゃないだろうね……?


「ねぇ……携帯のスピーカー手で抑えながら撮ってよ?」


「ん?何でだよ」


「キミが撮った後、時間差を付けて僕が大声出すから」


アホが……証拠としては、首を絞めている瞬間を撮らなければならない。

当然、その時は死んでいない訳だ。

ハゲがオチた後、数秒間は絞め続けてもらわなきゃ死には致らない。

だから、携帯のシャッター音を聞かれて、行為を中断されたら失敗に終わるんだ。

宮内の思惑なんてこの際どうでもいい。



僕の"見たい"衝動を邪魔してくれるな。


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