罪線
それから一時間出っぱなしの7連チャン。

あと30分くらい余裕はあるが、もうダメだ。外に出たい。

店員を呼んで玉を流して貰い、レシートを文鎮にするためカウンターで待っていると


「あのぉ……」


騒音の中から微かに声が聞こえた。


「あぁ?」


無気力に俺が振り返ると、そこにいたのはあの女。

台をあげた姉ちゃんだ。


「随分出たんだな。よかったじゃん」


「はい!本当にありがとうございます!」


かなり嬉しそうだ。相当負け込んでたんだろう。


「あんだけ出したんだ。帰り、気をつけろよ?」


「え?」


なんかキョトンとしてる。


「え?じゃねーよ。狙われるから気を付けろって」


「いや、ちがくて……」


「何だよ」


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