罪線

αの場合

思い返せば、あの事件から二年。私の人生は、地獄そのものだった。

父があの女と浮気をしていた事を、私はもちろん、母も知っていた。

実際そんな事はどうでも良かったの。

別にあの男が誰と浮気しようが、誰を愛そうが知った事じゃなかった。


でも、アンタは父親だけじゃなく、私の全てを奪ってしまった。


母は「殺人犯の妻」扱いされ、世間や社会からの信用は失墜。

精神的な苦痛を過度に受け続け、重い病気を患うとそのまま……


「……絶対に許さない……」


父親の部屋から見付かったリョウ……アンタの名刺を見た私は最初、殺す事でしか復讐は成し得ないと思っていた。


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