大好きでした
☆第一夢☆

1・暗闇

『今日はどうもありがとうございました。またお逢い出来るのを楽しみにしてます。おやすみなさい。』

愛想笑いをしてホテルの重い扉を開けて出て行く。


『もう~。あのオヤジしつこい!本番ヤらせてってそればっかり!!マジでキモイ。』
迎えに来たドライバーの車に乗り込み愚痴をこぼす。

『幸ちゃんは可愛いいから男はみんなそう思うよ(笑)けど、うちの店本番禁止だから気をつけてね。』
ドライバーの優しいのか、お世辞なのか分からない言葉を車の外を眺めて聞き流す。



見慣れた事務所に戻り今日の給料を受け取る。見ず知らずの男の前に自分の裸をさらけだし稼いだ汚いお金。


これが幸としての私の生活。

そして、事務所を出た瞬間私は本来の姿…海音に戻る。


私、海音 27歳。
普通の会社に勤めるOL。
何不自由ない家庭に産まれて、ここまで育ててもらった。明るく人見知りしない性格だから友達も多い。


けど・・・
誰一人もう一人の私、デリヘル嬢【幸】がいる事を知らない。



私が幸になったきっかけ…。
ありきたりかも知れないが借金だった。

普通にOLしていたのでは返せない金額になっていた。
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