大好きでした

3・出逢い

相変わらず点滴姿の私は、ただボーっと窓の外の夏空を眺めていた。


入院してもう少しで一ヶ月が経とうとしていた。


日々口数が減って元気がなくなっている私に佐藤さんが『立川さん。気晴らしになるか分からないけど、外来の待合室のホールで人間観察してきたら?私よく駅とかでするんだけど、色んな人がいて見てるだけで楽しいわよ。』と笑って言ってきた。


人間観察かぁ~。
車の免許取り立ての頃よく千華や清美や紗耶香で駅に行ったなぁ。
懐かしい。

そーいえば!千華なんてそれで今の彼氏と知り合ったんだっけ…。

私はその時の千華を思い出して一人笑った。



『行ってみようかな…』
そう言ってベッドから立ち上がると佐藤さんは嬉しそうに笑い病室を出て行った。


私は点滴のキャスターをガラガラと転がしながらエレベーターに乗った。


一階のホールに着くとそこは人だらけだった。

泣きながらお母さんに引っ張られる男の子。

杖をついてフラフラとしてるお爺ちゃん。

マスク姿で咳き込むサラリーマン。

ギブスを付けて車椅子に乗ってる中学生位の女の子。

大きなお腹を抱えて歩く妊婦さん。
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