大好きでした
賢が私を恋愛対象としてみてくれるはずがない。

友達?いや……きっと仲の良いお姉ちゃん位に思ってるんだろうな。

それに、私の体は病気を抱えてる。

最近は、賢のお陰で卑屈になる事もなくなって、以前の元気を取り戻していたけど、病気である事は消しようのない事実。

それを分かっていて恋愛対象にみてくれる訳ない…。

今、賢に気持ちを伝えて拒否されて…賢がもう病院に来てくれなくなったら嫌だ。
今の私にはどんな形であれ側に居てくれる賢の存在が一番の薬。

そんな存在を失いたくない。

だから賢の前では自分の気持ちを気付かれない様毎日必死だった。


『海音…ビデオつまんない?』
私の顔を覗き込み悲しそうな顔をする賢。
『えっ!?そんな事ないよ!何で?』
『だって…海音何かビデオに集中してないし。それに最近何か我慢してる気がするし…。海音…もしかして俺うざい?』
『うざくなんかないよ!何言ってんの?賢が来てくれて毎日退屈しないし、気持ちが凄い楽になってるんだよ。うざい訳ないじゃん!!』
じっと私の目を見る賢に対して、私は目を合わせる事が出来ず目を逸らしながら慌てそう言った。
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