大好きでした
お父さんは
『宜しくお願いします』
そう言って先生に頭を深く下げていた。



この日から私の本当の闘病生活が始まった。


朝から晩まで続く点滴。大量の薬。味のしない病院食。


毎日変わらない同じ事の繰り返し。
自分が他の人とは違い、病人である事を嫌でも思い知らされる日々だった。



そんな日々にうんざりしていたある日、千華と清美と歩の三人がお見舞いに来てくれた。

以前来てくれた時とは違う点滴だらけで意気消沈した私の姿を見て三人は言葉を失った。


『海音…大丈夫?何がどうしちゃったの?』
涙目で呟く千華。
『何で海音がこうなるの?この間まであんなに元気だったのにどうして…』
清美は訳が分からないといった感じでその場にしゃがみ込んだ。
歩は何も言えずに泣いていた。


私はそんな三人に対して何も言えなかった。それどころか顔すら見れず背中を向けて泣いた。



その沈黙を歩が破った。

『海音!治るんでしょ!?だったらそんな沈んでないで頑張って治さなきゃ!!うちらで出来る事あったら何でもして力になるから!治ったらまた一杯遊ぼうよ。』
千華と清美も
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