みそぢ手前の私と、ちゅうにの彼
受話器越しから奈々の嗚咽が聞こえてくる


もうお気付きかも知れないが、あの小説の姉妹は自分達の事で
実際にあった出来事をテーマにして書かれていたものだった…


姉が泣いてしまったので
コレ以上の会話は無理だな、と判断した寧々は、話を終わりにすべく
泣きじゃくる姉を諭す様に優しい声で囁く


「ごめんなさい。


でも…姉さん、6年前に出てってから連絡取れなくて…
生きてるかも解らなくて…
パパもアイツの事は忘れろって言うし…


だけど姉妹だもん…


ずっと心配してたんだよ…


その時、姉さんが小説書いてるの思い出しから…
だから、もしかしたらと思ったの…


…電話ありがとう…
さっきはゴメンね…


心配させたお返しに意地悪しようと思って…


…あの小説消してみる
無理かもしれないけど…

それから…


姉さんも頑張ってね
私だって書籍化出来たんだから
姉さんもすぐプロの作家さんになれるよ♪


じゃあ私これからフランスに行かなきゃならないから切るね
じゃあね♪


あっ!たまにはママに会いに来てね


それじゃ♪」



ブツッ


ツーツー



ミシッ



電話が切れたにも関わらず
奈々は携帯を壊す勢いで握り続けていた…
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