エクソシスト
女性は声が震えているのを感じながら薫をじっと見やった。

「父親の名前は、奏雲。井上 奏雲……か?」


「なんで分かるんだ?」

女性は銃を下に下げながら答えた。

「そのクリスタルは奴が持っていたものだ。それがお前の手にあるということは……惜しい男を失った……」


女性は床に視線を落としていた。

僅かながら泣いているのがはっきりとわかった。


親父はそんなに偉い人間だったのか……

いつも反抗ばかりしていた。


親父が死ぬなんて考えてもみなかった。

なのに………

後悔ばかりが押し寄せてきた。


もう…何も出来ないのに。
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