エクソシスト
女性は元の凜とした口調に戻しながら薫にたずねた。

「そのクリスタルを持っているということはお前が奏雲の息子か。」


「あの…クリスタルって一体……?」

薫はとっさに我にかえりながら尋ねた。

そもそもわからないことだらけである。


「それは導きのクリスタルと言ってな。エクソシストだけが持つことを許されるアイテムだ。それを持っていると何処にいようとエクソシストの本部である、ここ"メサイヤ"にくることが出来る」


そう話しながら女性は何処かへ歩き出した。


慌てて二人もついて行く。

階段を下りながら女性は話を続けた。


「もうお前たちもわかっているだろうが、お前の父親はエクソシストだった。それも極めて優秀な"パラディン"の称号を持った男だった。」


パラディン?

確か、騎士とかいう意味をもつ単語だよな…?


「パラディンの称号を持つことが出来るエクソシストは極めて少ない。一人失っただけでもその代償はでかすぎる。」


女性の言葉が薫の胸なグサリと刺さった。

親父は自分のせいで…

悔やんでも悔やみきれない想いが溢れてきた。


そんな薫に女性は単刀直入に真っ正面から話を切り出した。


「お前に奏雲の後を引き継いでほしい。」
< 13 / 72 >

この作品をシェア

pagetop