エクソシスト
薫は地図に示された場所に小瓶を設置していった。


薫の精神状態に反応してリングが次第に輝きを増す。

新しいリングには防御力を上げるだけではなく、身体能力を向上してくれる機能もついていた。


精神に反応し、その度合いは変化する。

以前、薫の反射神経が強化されたのはこれが理由だった。


目にも留まらぬ速さで薫は全ての場所に小瓶を設置した。

それを確認したのだろう。


周りにいるエクソシスト達が次々と転送されていく。

「終わった…」

安堵の表情を浮かべながら薫がつぶやく。


しかし、薫の前方から一人の黒服が近づいて来た。

薫は思わず、目を見開いた。


あいつは…以前、電車の中で薫と死闘を繰り広げた男だ。


黒服は伸ばした左手の中に抜き身の刀を出現させる。鈍い灰色の光沢が、黒服の手の中でぎらりと光った。


タイムリミットの5分まであと2分を切っていた。
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