エクソシスト
ワイヤーを放ったのは佳奈だった。


しかし、身体の半分以上が消えかけている。

時間がなかったため、右腕から上の部分しか転送されていない。


「井上くん!今のうちに!早く!」

佳奈が声を上げる。

今まで聞いたことがない声量だった。


佳奈の声を聞くと同時に薫は、黒服の心臓部分を刀で貫く。

黒服の目が大きく見開く。

瞬間、薫は身体が転送されていく。

間に合った…

安堵の表情を浮かべながら転送されていく薫。


肩の部分まで転送が終わったとき、黒服の声がかすかに聞こえた。

「まだ…終わってない……いずれは…あの方に……」

その言葉を言い切ると同時に黒服は消炭になって消えて行った。


あの方…

薫はあの時の悪魔を思い出していた。
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