簪彼女。
「ちょ、せっかく呼ばれた先生の存在を忘れないでくれるか!」
そんな時。
さっきまで笑いをこらえていたはずの先生が割り込んできた。
ふっと向けられたまーちゃんの視線が一瞬尖る。
「あらやだどこにいたんですか先生、見えませんでした」
「嘘つけ!ずっとここに……!」
居ただろ!とアピールしながら言うものの、まーちゃんの冷めた目線で大人しくなった。
まーちゃん怖いよね。
「お前こそ嘘つけ!」
「先生にお前とか言うんじゃありません!」
「笑いをこらえて端に居たの知ってますからね!」
「うぐっ……!」
そしてついに言い返せなくなった先生は、がっくりと肩を落とした。
……えーと、今。
真っ赤なペンキを浴びた生徒の前ではその友達と先生がコントをするというシュールな形になっております。
「……とりあえず、先生。どうすりゃ良いか指示出してくんね?」
「あ、ごめん高橋」
それを止めたのは高橋くんだった。
でっかいため息が一つ、言葉の前に聞こえたのは内緒だね。
「とりあえず赤松はシャワー浴びれ。教員用のがあるから。……ジャージある?」