簪彼女。
さぁ、後やることはただひとつ。
シャワールームからこの破廉恥な格好で抜け出し、光の速さでまーちゃんを見つけて簪をとって貰う。
ちなみに、ここでまーちゃんに頼まなくちゃならないと言うのは重要なポイントである。
理由は2つ。
こんな破廉恥姿、まーちゃんじゃないと的確に突っ込んでくれない。
……嘘です、こんな姿恥ずかしくてまーちゃん以外に見られたくないからです。
そして、この簪をまーちゃん以外の人に預けたくない、って言うのが第二の理由。
それくらい、この簪は私に取って大切なんだ。
そうして、やぁっと見えてきたシャワールームの扉。
……察してください、シャワールームの脱衣室から扉まで走って行っていると言うのに、こんなに考え事ができるなんて。
例えどんなに縦長なシャワールームだったとしても、……どんだけ遅いんだろう、私。
ただひとつ、誉めて欲しいのはタオルが少しも崩れていないことです。