簪彼女。
私、高橋くんの事見直したよ。
すっごく、見直した。
優しくて、あぁ、でもチョット不器用なのかな、なんて思った。
そんな貴方だからこそ、この大事な簪を預けても大丈夫かな、なんて思うの。
「私の髪についてる簪、取ってくれないかな。で、私がシャワー浴びてる間預かっててくれると嬉しいな」
くるりと後ろを向いて。
あぁ……なんて呟きつつ、恐る恐る近づいてくる高橋くんの気配を感じた。
「これ、抜けばいいの?」
「うん、そうだよ。簪一本で纏めてあるから」
そうしてするりと抜かれた簪。
肩下15センチくらいの髪の毛がパサリと肩にかかって、上手く取ってくれたなー、なんて思った。