簪彼女。
「ありがとう、高橋くん。大切に、持っててね」
「……わかった。だからちゃんと洗ってこいよ」
「うん。じゃ、私の相棒ダイナマイト☆カンザシーノを任せたよ!」
「オイちょっと待て!この簪、そんな大層な名前ついてんのか!?」
「うっそぴょーん!私がたった今この場で命名した!嗚呼素晴らしき私のネーミングセンス!じゃ、行ってきまーす!」
「嘘つけ……」
ヒラヒラと手を振る。
扉を閉めようとすれば、一瞬だけ高橋くんの笑った顔が見えた。
「次は、タオル一枚で飛び出してくんなよ!」
「あ、あああ当たり前じゃないっ!!」
笑顔で盛大に吃りつつ……、私は今度こそシャワーを浴びに入った。