簪彼女。
01
「なんて傑作なの!いや、ま、アンタ元から小さいとは思ってたけどね、思ったよりチビだったね!」
目の前で爆笑するまーちゃん。
もう、お願いだからもう少し声の音量下げてよ……。
「ち、ちがうもん。高橋くんが大きいだけだし……」
チラチラとこちらに飛んでくる女子からの視線が痛いんだからね。
こっちは気まずくてしょうがない!
「いやいや。どー考えても赤松が小せぇんだろ、これは。手と足の長さはしょうがないとして、まさか襟元までそんなブカブカってどういうこと」
「……高橋くんまで……」
少し恨めしい顔で高橋くんをみれば、なんとも笑いをこらえたような顔がかえってきた。
「ま、いんじゃね?あとたったの一時間だろ」
ちらりと後ろの黒板に貼ってある時間割を見る。
あ、この角度からみる高橋くんかっこいいんだなぁ。
ベストショット、ってやつ。