簪彼女。
「とりあえずイチャイチャしてんじゃねぇよ青ガキ」
そんな時だった。
ボスンッと音がして、高橋君の頭に出席簿が乗せられた。
「いてぇっ!その声は……広瀬変態教師かコラァッ」
「うるさい……」
「うるさい……じゃないだろ!なんだよ、いきなり!」
「いやぁ、俺、次ここだからさぁ。ほら、六時間目数学」
「ほぉ……」
「へぇ……」
ひょい、と指差された後ろの黒板。
さっきも確認したはずなのに、それにつられるようにしてまーちゃんと高橋くんが後ろの黒板を見た。
その間、二人にバレない事を良いことに広瀬先生はプッと笑っている。
それを困ったように笑って見ていれば、ふと目線が会った。
……と言うより、意図的に先生が合わせたみたいだ。
「……赤松、お前なんともない?」
「え?」
言葉の意味がわからなくて私は首を傾げる。
「いやぁ、なんともないならそれに越した事はないけどね。でもほら、きっと今に――……」
「先生っ!」