簪彼女。
03
「……どうして、こうなった?」
隣でぼやいた高橋くんの言葉に、私は苦笑しか出来なかった。
「えぇと、……弁解の余地もありません、全ては私の親友まーちゃんのせいです……」
「……お前も苦労してんなぁ……」
「まぁね……」
そう言いながら、遠い目で空を見上げた高橋くんはふっと笑った。
あぁ、もう日は暮れかけているんだ。
……なんて、ほのぼのと思っている暇なんてありゃしない。
なんたって、(私にとっては)超至近距離にいらっしゃる、学年一カッコイイと名高い高橋くんに、私はドキドキしっぱなしで。
それもこれも、全部まーちゃんのせいだ。
と、言うのも。
帰り際、ニヤニヤと意地の悪い笑みのまま、まーちゃんはひらりと風呂敷を見せてきた。
……まず、この時点で違和感を感じて逃げなかった事をとても後悔している。