簪彼女。
01
バッシャーン!!
……?
水音?
ううん、なんと言うか……
なにかがひっくり返った音みたい。
「……やっべ」
やっちまった、と小さな声で呟く声は多分私の耳にしか届いていない。
……あれぇ、可笑しいな。
さっきから音だけは聞き取れるのに、映像だけは読み取れない。
「雪ちゃ、ん……ペンキ、が…キャッ……!」
隣から聞こえる、友達の声。
そして逃げて行く足音。
「え?ペンキ………ってぇえええ!?」
そこで私はやっと、事の有り様に気付いた。