簪彼女。



「でも、やっぱ歩きづらいでしょう?私、歩くの遅いし、歩幅もちっちゃいし」



「そうか?」



「そうだよ!」



無意識に私の歩幅に合わせてくれてるのかな。


だとしたら、すごいけれども、……でも。



「だったら、お前のが大変なんじゃね?俺がお前に合わせるから、お前はいつもどおりゆっくり歩いて良いよ」



「なななな」



「な?……お前って、焦ると一文字を連呼するのな。面白れえ奴」



「ほめ、ほめ言葉として受け取って起きます……」



そして、こんな風に優しい言葉を投げ掛けてくれる高橋くんも、無意識なんだろうな。


普段、あまり男子と話さない私は、口を聞こうなら緊張して大変なことになる。


なのに高橋くん相手なら大丈夫なんだなぁって、今日初めて知った。



まったく、素でこんなにカッコイイだなんて。


……んん?


なんだ、これ。


カッコイイ、だなんて、まるで……。



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