簪彼女。


そしてテンパる。


だって高橋くん、さっきからずっと動かないんだもん。


まるで石像みたい。


それでいて、ジッと私を見てばかりなんだから、こまりもの。


恥ずかしい恥ずかしい、とても。


これじゃあ当分、頬に集まる熱がひいてはくれそうにない。



「あの、あの、……高橋、くん……?」



くい、と風呂敷で結ばれた手を引いた。


ゆらり、優しく揺れる。



「……はっ……!?」



ピク、と高橋くんが動いて、意識がやっとこっちに戻ったらしいことがわかった。



「ごめん、ちょっと違う世界にワープしてた……」



「な、なにそれ……」



自分自身に驚いたように言う高橋くんは、もういつも通りだ。


そして、それに一瞬きょとんとして笑い出す私もいつも通り。


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