簪彼女。
ただひとつ、違うところが有るとすれば、それは繋がっている腕だろう。
肌が密着していることだろう。
そして、そのことによって顔がとても近くにあるということだろう。
「どうしよっか、これ」
考えたところでどうしようもなくて、私は苦笑いを浮かべた。
高橋くんは、じぃと結ばった風呂敷を見ている。
「片手でほどけねぇかな……」
「無理だと思う」
「即否定かよ!……やってみねぇとわかんねぇじゃん?」
「握力いくつ?見たところ、高橋くんって器用じゃなさそう!」
小さく、笑いが溢れてしまった。
そんな私を見て、高橋くんは困ったような、それでいて呆れたような表情を浮かべる。
「確か50くらい。そりゃあ、器用になるような事をちっともしねぇから、俺の眠ってる器用さがまだ開花してねぇかもしれないけどよ……今、開花するかもしんねぇじゃん!」
そう言って、風呂敷に手をかける。
「高橋くん、多分そこじゃなくてこっちを持った方が上手くとれると思う」
「あ」
「やっぱ不器用……」
「ごほん。赤松。人は誰しも間違えるさ」
「……………うん」
でも、高橋君の間違え方はちょっと駄目だったと思います。
あれじゃあ逆にきつくなっちゃうもん!