簪彼女。
「すっげぇなぁ。流石赤松……っつか、簪っていろんなことに使えんのな」
独り言のように呟く高橋。
「そのうち、鍵を開けられちゃう簪ができちゃったりしてね」
「うんうん。空き巣し放題だぜ……っておい!?」
「あははっ嘘だよ!さて。高橋君。良かったらウチ寄ってく?夕飯くらいはご馳走するよ?」
お世話になったし。
そう言えば、高橋くんの顔はパァアと輝いた。
……ように見えた。
「まじ、いいの?」
「勿論。ただし、私の手作りですっ」
「むしろ歓迎っ」
嬉しそうな高橋くん。
それを見ていたら、何だか私まで嬉しくて――……暖かくなった。