簪彼女。



「すっげぇなぁ。流石赤松……っつか、簪っていろんなことに使えんのな」



独り言のように呟く高橋。



「そのうち、鍵を開けられちゃう簪ができちゃったりしてね」



「うんうん。空き巣し放題だぜ……っておい!?」



「あははっ嘘だよ!さて。高橋君。良かったらウチ寄ってく?夕飯くらいはご馳走するよ?」



お世話になったし。


そう言えば、高橋くんの顔はパァアと輝いた。


……ように見えた。



「まじ、いいの?」



「勿論。ただし、私の手作りですっ」



「むしろ歓迎っ」



嬉しそうな高橋くん。


それを見ていたら、何だか私まで嬉しくて――……暖かくなった。



< 51 / 74 >

この作品をシェア

pagetop