簪彼女。
02
学校へ登校。
昇降口に入って、下駄箱の蓋を開けようとしたときだった。
「おはよう、雪んちょ!昨日はどうだった!?」
「ま……まぁあーちゃぁあああん!!」
ぽんっと肩を叩かれて、振り向く。
当然、そこにいるのは親友のまーちゃんで。
昨日の文句を言おうと、私はすごい形相をしてまーちゃんにつかみかかった。
「何……これ」
けれども、まーちゃんは私を通り越した所に目線をやって唖然としていた。
「……え?」
意味がわからなくて、そのままの状態で固まる。
「……そんな、もう……」
小さな声でまーちゃんが呟くのが聞こえた。
みるみる歪んでいく顔。
ただごとじゃないと、私も振り返ろうとした、刹那。
パコン!と音がして、誰かの手で下駄箱の蓋が閉じられた。
「あ、高橋くん……」
「はよ、赤松。小野も」
にっこりと高橋くんが笑った。
うわぁ、朝からなんて爽やかなんだろう。