簪彼女。
カッと目を見開く。
ぅひいっやら、ギャッやら、またもや悲鳴が上がるのも仕方ない。
想像した私でさえ怖いもん、血まみれな顔面の目がクワッと開くんだもんね。
ほっほう、自分の睫毛が赤い。
そして制服を見下ろせば、べぇったりと赤いペンキがついていた。
「お前な……もうちょっとこう、…なんつーか……怒るとか、ない訳?」
「んー?別に。これはこれで、皆良いリアクションしてくれそうだよ。ほら、おばけだぞー」
そんな事を言いながらお化けの振りをして相手を見れば、こちらの動きが一瞬止まりました。
ちなみに、心臓も止まった気がします。
「……はは、……ナンチャッテ」
「はは、じゃねぇ。ナンチャッテ、でもねぇだろ……」
そこにはなんと、学年一モテる(と言われてる)高橋広(タカハシコウ)君がいらっしゃったのだから。