せーの、で忘れてね



なんだよ、もう。


揃いも揃ってさあ。



「‥好きなんじゃん」


「はは」



はは、じゃねーよ。



そういう決定的なところに迫ると、言葉を濁す。



「てか牧山、それ、言っていい話だったの?」


「や‥ダメだったけど、いーんだよ。 悪役ってのは、すぐチクったりして、人の運命を狂わせたがるキャラなんだから」



「‥‥牧山、悪役だったの?」


ぷくくと住吉が笑う。



なんだよ、笑い方まで似てるんですけど。


伊久さんに。



そんなの見せられたら、あたしだって苦笑いしかできないじゃない。



あたしの7年はムダだったんだ、って、つきつけられたんだから。



ばっかじゃないの。



もう、いいよ。


もう分かってんだよ。



あんたらが両想いなことくらい。





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