せーの、で忘れてね
「あれ、2人とも。 あけおめ~」
住吉の横から顔を出してきたのは‥‥
「伊久さん‥‥」
「あー伊久ちゃん、あけおめ~」
「すーちゃん風邪引かなかったー? 薄着して、毎年すぐ風邪ひくんだから」
‥毎年って‥まだ逢って2年じゃん。
「牧山ちゃんも、ゲンキ? 去年ぶりだね~。 あ、当たり前かあ」
「伊久さん、どうしてこんなときに? 3年生って、まだ休みじゃないんですか?」
「ふふ。 ちょっとね、先生たちにも挨拶しなきゃと思ってさ。 すーちゃんもあとでちょっといい? 話したいことがあるの」
キタ
キタよコレ
結婚のハナシだ
ついにきた‥‥
伊久さんにさらわれた住吉の背中を見ながら、あたしはなんだか切なくなった。
笑い方が同じあの2人の背中。