せーの、で忘れてね



ジャリ‥‥


少しずつ近づくと、そこにはちゃんと住吉のシルバーの車があった。



ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、運転席に住吉が乗っているのが見える。



もしかして、今にもエンジンをかけて出発することも、なくはない。



「すみよ‥っ」



あわてて駆け寄って、そのとき気付いた。



住吉が泣きながら、電話で誰かと話していることに。



「‥‥‥そ‥かあ‥‥」



そうだよ。


わざわざ会いに行かなくても、電話ができんじゃん。




もう‥‥‥


もうたくさんだよ。



あんたら、どっからどう見ても両想いだ。



誰が見ても、認めてくれるよ。



ふざけんな。


大学にもなって、こんなピュアな恋愛があるかっつーの。



ほんと、あんたらにはコリゴリだ。





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