せーの、で忘れてね

からじょっぱい

ルルル――― ルルル―――


あたしが住吉の車に辿り着いて間もなく、住吉からの着信が来た。



「はい」


「牧山‥ごめっ 俺、勝手に１人で行っちゃったよな‥悪い‥今、どこ？」


「大丈夫だよ、迷子になったあたしも悪いし。 またすれ違ってもヤだから、今住吉の車のとこにいる」


「わかった。 今すぐ行くから、ちょっと待ってて」


「うん。 ‥伊久さんとは、会えた？」



あ‥今あたし、意地悪した‥



「‥‥‥ウン」



何とも言えぬ気持ち悪い沈黙のあと、住吉が静かに頷いたのが聞こえた。



「良かったね、じゃあ車で待ってる」



あたしは明るい声で電話を切った。