せーの、で忘れてね
数分して、住吉は温かいココアを持って走ってきた。
「寒かったっしょ?」
「‥アリガト」
「‥寒いね」
「そうだね」
住吉が車の鍵をあけて2人乗り込んでからも、あたしはココア、住吉はコーヒーを飲みながら
なんだかノスタルジックな気分になっちゃって、お互いに黙り込んでいた。
「‥伊久さん、何だって?」
「‥‥ダメになったら、戻ってくる、って」
「‥‥‥‥」
ダメになったら戻ってくる、って‥
離婚したらってこと?
住吉の元に戻ってくるってこと?
住吉それまで待ってんの?
色んな疑問が浮かんでは消えたけど、あたしはそのどれも結局口には出さなかった。
「忘れられたらいいのにね」