せーの、で忘れてね
どこにいてもどんなときも

天体




「あれが小熊座でしょ‥‥。 で、あれが‥‥」


見たことはあるんだよな‥‥なんだっけ。


あの時恭介が言ってた。


わたしは小さな丘の原っぱに寝転がって空を見上げる。



「忘れちゃうよ‥‥」


恭介に最後に会ってから、もう半年以上経つ。


電車で3時間の距離だから、会いに行こうと思えばいつでも会いに行けるけど、交通費がそれなりにかかるし、お互いの時間もいっぱいいっぱいでなかなか合わせられない。


半年前のあの日、そろそろプロポーズのひとつでもしてくれるかな、って思ってたのに最後の最後まで何も起きず


あたしもいい年だってのに日付変わる前には帰らなきゃダメだよ、とか言ってアッサリ帰された。



恭介は年々渋みとかも加わって、でも前よりも和やかで寛容な人になったみたいでどんどんカッコよくなっちゃうし、仕事も仕事で今くらいの時期から任されてくるものも大きくなってきて楽しくて仕方のない年だろう。



‥‥‥‥だけど。



だけどさ‥‥‥



「もう来週で、30だよわたし‥‥‥」





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