せーの、で忘れてね
果たしてコレをあたしは、住吉に内緒にしてて、いーんだろうか?
いや、別に‥カレシカノジョな訳じゃないし、いいの?
そーゆーモン?
でも、ケッコンだよ?
「ねえ、住吉」
「ん?」
うわ!
無意識のうちに呼び止めちゃったよ!
「いや‥‥え‥と‥‥後で、利子つけてから返せよ」
あたしはごそごそとポケットから野口英世を1人、住吉の手に握らせる。
「ありがとー牧山、助かる」
ニコッと笑う、この笑顔が憎らしい。
もー、どーすりゃいいの、あたし。
「住吉」
「んー?」
「伊久さん、結婚、するかもだって。 画家なんだって。 したら、ヨーロッパで暮らすんだって」