君のすべてが見たかった

―まあケイはお世辞にも“いい男”とは言えなかったけど、頬にご飯粒がついてたのが気になって、私も微笑み返しして手は自然とケイの頬にいった。


そして、ご飯粒を取ってやると、なんと自分の口に運んでしまったのだ。


まるで、母親が幼子にそうするように自然と私はそうしていた。


― あ゛ーっ!!


私とケイはほぼ同時に叫んでいた。


そして二人とも真っ赤になってうつむくと、どちらからともなく笑い出していた。


これが二人のきっかけなんです。


三年経った今でも、ずーっと忘れないあのシチュエーション。


これからもずーっとね。



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