君のすべてが見たかった
すべてがない
“オンジの山小屋”は本当に何もないとこらしい。
ミチは母親に確認して驚かされた。
まず、電気、ガスは引かれていない。
自家発電機で僅かばかりの電気が使えるが、それは主に地下水を汲み上げる為のモーターに利用してあるらしい。
だからやはり電力はゼロ。
水道のみが蛇口を捻れば使える状態らしいが、風呂も炊事も燃料は“薪”らしいのだ。
正に、不自由な暮らしが体感出来る。
まあー食糧に関しては、すぐに畑や田んぼが出来るわけではないので、農業体験は出来なくても、便利さからはかなりかけ離れた生活は体験出来るではないか!
―これはかなりケイが喜びそうだ。
ミチはすべての段取りを付けて、ベッドの中でニヤけながらコトンと眠りに墜ちていった。
―――――――――――