君のすべてが見たかった

ミチの予想は見事ハズレた。


ケイはまだ着替えすらしてなくて、いつものグレーのスウェット姿で現れたのだ。


―これは、かなりテンション下がるなー。


ミチはそう思いながら、近付いて来るケイの為にウインドーを下げた。


「ミチ、車は来客用に停めて一つ空いてるから…。」


ケイは挨拶もそこそこにミチに指示した。


ミチは何となく、まだ行く準備もしてないケイに主導権を握られるのが嫌で


「何で?もう、すぐに出ようよ。寝具を積んでるから、このまま私の車で行こう。」


と握り返してやった。


「いや、いいからとにかく停めて!!」


どうやら今日のケイは一歩も引かない構えのようだ。




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