君のすべてが見たかった
山小屋の中に入って見ると、なんとも殺風景な造りでほとんど物も置かれてなかった。


しかしリビングの暖炉は、この家の象徴みたいに、デンと奥の壁に張り付いていた。


「良かった。これで寒さは凌げるな。」


ケイが暖炉を覗き込む。


「でも、薪割りが大変だよ。お風呂も薪らしいから…。あっ!釜戸も薪がいるよ。」


ミチが少し不安げにケイに言う。


しかし、ケイは“まかせとけ!”と言わんばかりに手を振り上げた。


「よし!早速買い出しに出ようか。それから俺は薪割りするから、ミチは掃除だよ。」


ケイは“水を得た魚”のように張り切っている。




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