君のすべてが見たかった
山小屋に戻ると二人は早速、それぞれの役割分担通り、ケイは外で薪を割り、ミチはほうきで部屋を掃いたり、雑巾で色んな所を拭き出した。
もう、どのくらいの間、ここは放置されていたのだろうか……。
どこを拭いても雑巾が真っ黒だ。
そのたびにバケツの水代えに外に出て、ケイと笑い合う。
ケイは小型の斧で細い丸太を割っていた。
最初はなかなか割れずに難儀していたケイだが、コツを掴むとリズミカルにどんどん割っていた。
そんな様を微笑ましくミチが立ち止まって見ていると、
「……痛っ!」
ささくれ立った木片がケイの指に刺さり軍手を通して血が滲んでいた。
トゲは大きかったので、すぐに抜けたが血が溢れていた。
「ミチ、悪い。傷テープ取ってきてくれる?」
しかし、ミチはすたすたとケイの元に歩み寄ってきて、その指を口に含むと傷口を吸った。
「……ミチ…。」
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