君のすべてが見たかった
「膝にたくさん傷があるね。サッカーやってた時の傷?」


「そうだよ。男の勲章。なんてね…あっ…」


ミチは傷跡だけは、そっと唇でなぞっていった。


「すげー電気が走るよ。なんだ‥この感覚……。」


―私はやっぱりこの人が好き。


アナタより大切なものなどありはしない。


「ミチ。もうこれ以上、立っていられない…から…」


ケイはミチを抱きかかえると、ミチの髪に鼻先から戯れていった。


「ありがとう ケイ。アナタのすべてが見たかったの…私。」




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