君のすべてが見たかった
二人が目を閉じると、そこはまったく雑音のない世界だった。
普段、都会の喧騒の中で暮らしていると、街は24時間起きているので、自分だけが灯りを消しても、外では生活音が鳴っている。
そして、いつの間にかその雑音に慣れてしまっているので、逆に静かだとソワソワと落ち着かなくなるのだ。
それなのに、ここの静寂は心地よく、無音と言うより、
遠くで鳴くフクロウの声、
風に揺れる草花の音、
何か獣の動く気配すらしてくる。
その中で、二人は安らかな寝息を立てて、深い眠りについていた。
オンジの山小屋生活初日は静かに終わろうとしていた。
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