君のすべてが見たかった
二人が目指した牧場は野菜の直売所よりさらに車で20分程行ったところにあった。
「ここって本当にいい所だな。 おじいさんがここを“終いの住処”にしたのが判るよ。」
「本当ね。あの頃はみんなで、お祖母ちゃん亡くした悲しみのあまりに山に引きこもったって心配してたけど、お祖父ちゃん最後に豊かな暮らしをして人生の幕を引いたんだって判ったよ。」
「それに最期はね、町の囲碁クラブで大好きな囲碁を打ってる時に倒れて亡くなったの。だから孤独な死じゃなかったし、仲間に見送られての最期だったから納得いったと思うしね。」
「そうかぁ。最期のシナリオは自分では書けないもんな。自然に任せたらね。」
「うん。あっ!スゴい! 牛がいる。豚もいるし、馬もいる。鶏もいる。」
ミチは雄大な牧場の光景に目を奪われた。
「よし、お店の中に入ってみよう。」
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