君のすべてが見たかった

オリーブオイルを熱した中にガーリックをいれて煙りを立ち上がらせて、先に刻んでおいた新鮮なトマトを入れるとたちまちキッチン全体にトマトの濃厚な匂いが充満した。


「う〜〜ん いい香り。急激に腹がすいてきたよミチ。」


「でしょ〜!? あっ!ケイ。顔が真っ白だよ。粉まみれでバカ殿みたい。」


木杓子を持ったままミチがゲラゲラと笑いだした。


「えーっ!ば、バカ殿?」


「あっ!そうだ。ちょっとコレを味見して。……そしたらね…ほらこれで完全なバカ殿の完成だよ。正確に言うとさっきまでは“呪怨”で今が“バカ殿”だね。」


ミチは両手の塞がったケイの口元をトマトソースで装飾を施すと、それがツボに入って笑い転げていた。


「よし。これだけは写真に残そうね。」


デジカメは持ってきてないので、使い捨てのカメラでミチがケイの勇姿?を撮った。




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