君のすべてが見たかった
さすがに天気が良いとはいえ、3月の山の気候では、“青空シャンプー”をしたら風邪をひいてしまう。
二人は中に入ると多少、シャボンが飛び散っても良いように床に新聞紙を敷き詰めて、リビングの真ん中に椅子を置いた。
モチロン、先にたくさんのお湯も沸かしてある。
「さあさあ、お嬢さん。お座りください。」
ミチは乳製品を繰るんであったビニールを首に巻いてスタンバってみた。
「ケイ? シャンプーのコツは爪を立てずに、指の腹で少しずつ丁寧に頭皮を洗う事だよ。」
ミチが少し不安になって先にコツを伝授した。
「判った。シャカシャカやらないんだね。」
ケイはシャンプーを少なめに手のひらに取ると、ミチの髪に馴染ませゆっくりゆっくりと指を動かしていった。
「こんな感じかな?」
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