君のすべてが見たかった

ケイの口から自然と出た言葉にミチも


「そうだね。」


と返したが、


現実的には無理だったと気づきケイはサラッと話題を変えた。


「あっ!そうだ。次はもう少し暖かくなってまたここに来よう。そしたら外で青空シャンプーしようよ。」


「うん!それもいいね。」


――実はね…ケイ。私ある決意をしてここに来たんだよ。


それは……ここを発つ時にちゃんと言うからね。


その後の夕食の蕎麦打ちも二人の共同作業でうまくいき、デザートには牧場で買っていたヨーグルトに特製の苺ジャムを載せて食べた。


「なんか頑張り過ぎたかな〜。腰が痛くなってきたよ。」


「大丈夫 ミチ!? 今日は早く寝よう。」


布団に入るとすぐに、ミチは眠りに落ちたので


「よっぽど疲れたんだな。もう熟睡してる。」


ケイはミチの寝顔を観察してランプの灯りを消した。


まだ、この時はミチの異変に気付かないケイだった。




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