君のすべてが見たかった

すると水を得て、意識が少し回復したのか、僅かにミチが口を開いた。


「……いや……まだ帰らない……」


「ミチ!ダメだよ。早く病院に行こう。このままほっといたらまだ熱が上がるかもしれない。」


ケイはミチを説得して、一刻も早く山を降りる事しか考えられなくなっていた。


それでもミチは頑なに首を横に振った。


「イヤ。絶対にイヤ。……それじゃあケイだけ帰ればいい。」


「もう!どうして判ってくれないんだよ。」


ケイは仕方なく、強引に身の回りの物から片付ける事にした。


悲しいが、ここに来て初めて二人の気持ちに亀裂が入った様だった。





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