初雪メモリー[BL]
身体が動くようになってから、約束通り二人に選ぶのを手伝って貰い、悩みに悩んだ結果一つ……いや、二つの物を選んだ。

俺にくれた首飾りのように年中使える物ではないけれど、これはこれで良いと思う。

二人もその選択に納得してくれた。


「前にも言いましたけど、どんな物でも彩十さんからの物ならどんな物でも喜びます。だから自信を持って下さいね!」

「絶対喜びますよ」


二人がそう励ましてくれると、何だか心強い。

ああ、あとはこれで初雪の日を待つだけだ。そう思っていたのに。



「は? 明日一日遠出?」

「ああ。ババ様に頼まれて、ちょっと使いに出てくる。怜(りょう)の所へ、な。
ついでに情報交換も兼ねて薬を渡しに。帰りは明日の日付が変わる位になるだろう」


海理の誕生日も翌日に迫ったこの日の夕ご飯の時、突然そう告げられてしまう。

怜と言うのはまた此処から離れた所にある別の異形の里の長。

その場所はは人間では歩いたら数日かかる場所。異形の者達の足では個人差はあるが、一日もかからないと言う。

俺も一回だけ、“結婚したから挨拶に行く”と言われ一緒に行った事があるから彼を知っている。
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