初雪メモリー[BL]
怜に会いに行く以外の理由でも海理がこうして遠出をし、帰りがかなり遅くなる事は何度もあった。

その度に犯される心配もなく安心して眠れると、内心では喜んでいたのに。

この時ばかりは悔しい。日付が変わってしまったら誕生日ではなくなってしまうから。

多分海理の事だから、明日は犯せないから今日犯す。俺が目を覚ましたその時にはもう海理はいないだろう。

遠出する時は何時もそうだったから。つまりは渡せない。


「本当に突然だな。薬を届けるのって、弟子達の役目だろ?」

「弟子達はまた数ヶ月に一度の山籠りに行っていていないんだと」


そう淡々と話される度に、胸が締め付けられそうになる。

折角の誕生日を祝う事もさせて貰えないなんて。前倒しして渡すことだって出来るけれど、それは避けたい。


こう言う時、ババ様を恨みたい気持ちに駆られる。

でもあの人はそう言う誕生日を気にしない人だ。そうでなければ海理にそんな事は頼まない。
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