奥さんに、片想い

 その夜。この前のように娘を寝かしつけてやってきた妻を僕はすぐにベッドに引き込んで裸にした。
 唇を合わせる瞬間も、露わになった乳房を彼女から僕に差し出すそのタイミングも、差し出されてすぐに胸先を口に含む僕の行為も。すべて僕たち二人だけが良く知っている通じ合う流れで、なにもかもがかっちりと合わさる睦み合いだった。
「徹平君。結婚五年目、木婚式の意味を知っている?」
「しらないなあ。なんていうの?」
「ふふ。夜、熱烈に愛し合った夫婦のような意味よ」
「だからなに」
「調べてみて」
 肌を合わせて寄り添い、更けていく夜の中、肌の温もりを分け合う。そのうちになにもかもが溶け合って二人一緒にまどろんでいく。

 結婚五年目。木婚式。【夫婦がやっと一本の木のようになる】

 確かに。昨夜の僕たちは【夫婦がやっと一本の木のようになる】ような感覚で抱き合ったのかも!
 翌日。コンサル室のオンライン接続専用デスクにて。ネット検索をして意味を知った僕が、一人嬉々と悶えていたのを誰も知らない。

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