Come back !! じいちゃん
「陽一。お前どこ行ってたんだ？」
　
父さんが、僕のことを見つけ声をかけてきた。
　
「まだ、家の中バタバタしてるからお前も手伝いなさい。」
　
「分かった。ねぇ、父さんこの人形のこと知ってる？」
　
そう言って僕は物置に置かれていた人形を見せた。
　
「あぁ、じいちゃんが大切にしていた人形だな。たしかどこかの魔術師の最後の作品だからって。」
　
「ガレリオ？」
　
「あぁ、そんな名前。よく知ってるな。」
　
あの声は、父さんじゃない。この様子を見れば明らかだ。
　
「ほら、母さんの手伝いに行って来て！」
　
「は～い。」
　
葬儀ってやつは意外と、悲しんでいる暇がない。
　
生前のその人の知り合いやら親戚やらが集まってきて普段見ないお客さん相手に話をしたり昔話ん花を咲かせたり、故人を見送るために存在しているようなもので。
　
本当はまだ、一緒にいてほしいと思う心もあったりして。
　
でも、見送らなきゃなって思ったりもして。
　
葬儀が終わったら疲れもあって。
　
骨になって家に帰って来た人を見て寂しく思って。
　
その後も近しい人たちだけで夜遅くまで後片付けして。
　
「みゃ～？」
　
ミリーが甘えてきた。
　
「ミリー、お前が人間だったらねぇ。いい子だから向こうの子たちと遊んできて？」
　
「みゃ～？」
　
そう、文字通り、猫の手でも借りたい気分だ。
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